日本ではUberが有名ですが、世界的には肩を並べる配車デリバリー企業がいくつかあるので、比較しながら紹介しておきます。
以下がその大手です。
Uber – アメリカ発祥、世界規模で移動・配送・物流を展開
Grab – マレーシア発祥、配車+デリバリー+金融のスーパーアプリ
DiDi – 中国発祥、巨大モビリティ企業
Bolt – エストニア発祥、欧州を中心に急拡大したUber型企業
Lyft – アメリカ発祥、配車を中心に移動サービスへ集中
同じ「配車サービス」から始まっていても、その後の成長戦略はかなり違います。
Uber
創業者 トラビスカラニック、ギャレットキャンプ。
2008年冬、パリでタクシーを捕まえられなかったので、トラビスカラニックとギャレット・キャンプは最初のUberを構想しました。
その後、2009年でサンフランシスコで「UberCab」サービスを起業。黒塗りの高級車を利用した送迎サービスで高所得者層に人気になり、2012年には「UberX」を導入し、ユーザーの自家用車をそのまま配車アプリで呼び出して、送り迎えするサービスでしたが、出前、日用品、物流に拡大して日本や他国に拡大しました。
- Uber Eats
- 食料品・日用品配送
- 荷物配送
- 物流
- 法人向けサービス
月間アクティブプラットフォーム利用者は約2億800万人、3か月間の利用回数は約38億6700万回に達しています。
さらに同四半期には、世界で過去最高となる約1020万人のドライバー・配達員がUberを通じて収入を得ています。
人、料理、商品、荷物を移動させる巨大なインフラになっています。
現在Uber Technologiesを率いているのはCEOのダラ・コスロシャヒです。トラビス・カラニックは2017年にCEOを退任し、2019年末には取締役からも退いています。
さらに2026年のUberは、自動運転車を自社ですべて開発するというより、自動運転企業や自動車メーカーと連携し、自社の巨大な配車ネットワークにロボタクシーを載せる戦略を強めています。日本でも日産、Wayve、日の丸交通とのロボタクシー実証が進められています。
「人を呼ぶアプリ」から始まったサービスが、世界の移動インフラに近づいているわけです。
Grab
創業者 アンソニー・タン、タン・ホイリン。
Grabは2012年に東南アジアで始まった配車サービスですが、その後、
- GrabTaxi
- GrabCar
- GrabFood
- GrabMart
- GrabPay
- 融資
- 保険
- デジタル銀行
などサービスを拡大、今は東南アジア8か国、900以上の都市で事業を展開、月間取引ユーザーが5000万人を超えています。
ライドシェア、フーデリに加え、お金を借りる、銀行を利用するところまで1つの経済圏にしようとしています。
Uberよりも、中国のWeChatやAlipayなどに近い「スーパーアプリ」です。
現在ではシンガポールのGXS Bank、マレーシアのGXBank、インドネシアのSuperbankなど、銀行事業にも関わっています。
2018年、GrabはUberの東南アジア事業を買収しました。
Uberの配車事業だけでなくUber Eats事業もGrabへ統合されています。
Grabは金融が強いのと、Uberを東南アジアから追い出した会社ともいわれてるが、UberはGrab株式の27.5数%を取得してます。ぬかりない…
そしてGrabの大きな特徴は、やはり金融です。
配車とデリバリーで大量の利用者、店舗、ドライバーを集め、そこへ決済や融資、保険、銀行を接続する。
これによって単なる「移動アプリ」ではなく、巨大経済圏の出来上がり。
DiDi
創業者 程維(Will Wei Cheng)
DiDiは2012年に中国で程維が北京小桔科技を作り、タクシーをスマートフォンから呼ぶサービス「DiDi Dache」として始まりました。
現在は
- 配車・ライドシェア
- タクシー配車
- 運転代行
- フードデリバリー
- 都市内物流
- 金融サービス
- EV・車両関連サービス
などを展開しています。
こちらも「中国版Uber」に見えますが、巨大です。
2026年第2四半期だけで、DiDiのプラットフォームで約50億5200万件の取引が行われました。
そのうち中国国内が約36億4800万件、海外事業が約14億300万件です。
中国国内では平均で1日約4000万件以上取引が発生…とんでもない規模です。
Uberは2014年頃に中国市場に参入していましたが、激しい価格競争の末、2016年8月に中国事業を売却し、自力開拓からの撤退しました。
中国 → DiDi
東南アジア → Grab
という形で、巨大な地域市場から撤退しています。
Uberが世界中で圧勝しているわけではないのです。
Bolt
創業者 Markus Villig(マルクス・ヴィリグ)
2013年、エストニアで19歳だったMarkus Villigによって創業されました。
日本ではほとんど知られてないと思いますが、世界で50か国以上、850都市、2億人以上が利用してる巨大企業です。
最初の資金は親から借りた5000ユーロだったようで、その資金でドライバーを集め、アプリを自作してスタートしました。
そこから、
- 配車
- Bolt Food
- 電動スクーター
- 電動自転車
- カーシェア
- 食料品配送
へ拡大。
バルト三国のエストニアから、シリコンバレーでも中国でもない、人口130万人程度のエストニアから世界規模のプラットフォームが生まれたことになります。
Uberより配車、交通を重点にしてる
- 配車
- Bolt Food
- 電動スクーター
- 電動自転車
- カーシェア
- 食料品配送
を同じアプリにまとめる戦略です。
Boltも「車ではなく、人のための都市をつくる」を掲げ、自家用車への依存を減らし、シェア型の移動手段を増やすことを目標にしています。車両価格、燃料代、駐車場代、保険、整備費を考えるとヨーロッパ圏ならそうなるわな。
Uberが「人と物の移動プラットフォーム」なら、
Boltは「都市交通プラットフォーム」
という違いです。
Lyft
創業者 ローガン・グリーン、ジョン・ジマー
2012年の夏「Zimride(ジムライド)」という会社の1サービスとして始まったようです。
Zimrideは2007年創業されてます。2013年には会社名をLyftへ変更しています。
UberとLyftは、アメリカの配車市場で長年競争してきました。
現在は
- ライドシェア
- タクシー
- 高級ハイヤー
- カーシェア
- 自転車
- 電動スクーター
などを提供しています。
2026年第2四半期にはアクティブユーザーが3050万人。
取扱総額は約55億ドルとなっています。
LyftにはUber Eats、出前がありません。
Lyft「人を運ぶ」ことに集中しています。
- 車
- タクシー
- 自転車
- スクーター
Uberと同じところからスタートしたが、人を運ぶに特化したサービスです。
5社の戦略
Uber
世界規模の移動・配送プラットフォーム
人だけでなく、料理、商品、荷物まで運ぶ。
Grab
東南アジアのスーパーアプリ
移動と配送だけでなく、決済、融資、銀行まで取り込む。
実際、Grabは2026年にも金融事業への投資を拡大しており、インドネシアのデジタル銀行Superbankも連結対象にしています。
DiDi
中国を基盤とする巨大モビリティプラットフォーム
圧倒的な中国市場の取引量を持ちながら、海外展開も進める。
Bolt
欧州発の都市交通プラットフォーム
配車、自転車、スクーター、カーシェアなど「街の移動」に強い。
Lyft
配車を中心とするモビリティ企業
Uberほど事業を広げず、人の移動を中心に展開する。
横展開しやすいビジネスモデル
移動は人類の大きな課題の一つです。馬車から始まり自転車、車、バイクこれらをビジネス化するには昔は許認可制が多かったのですが、uberの登場で車やバイクを持ってる人ならほとんどがタクシーや出前の仕事ができるようになった、今まで手垢のつかなったビジネスなので。非常に横展開しやすかったのでしょう。
最初に配車サービスを作る。
- 利用者アプリ
- ドライバーアプリ
- GPS
- 地図
- 決済
- 本人確認
- 評価システム
- 需要予測
- 料金計算
- マッチングシステム
という巨大なインフラが出来上がります。
これで、人、料理、食料品、雑貨、荷物を運べ、そこにはかならず決済があり取引もサービスに入れることが可能になる、まさにスーパーサービスの出来上がり。
人類の課題、移動を一段解決したサービスと言っていいと思います。
Uberが世界で「スマートフォンから車を呼ぶ」というビジネスモデルの巨大な可能性を証明した後、Grab、DiDi、Boltなどが、それぞれの地域事情に合わせて独自の形へ発展させていきました。
これらを支えてるのは高度なテクノロジーです。スマートフォンの位置情報、GPS/GNSS、デジタル地図、リアルタイム通信、大量の位置データ処理、需要予測、機械学習、マッチングアルゴリズム、決済、不正検知などを組み合わせなければ成立しません。
ちなみにGPSそのものも、人工衛星の時計と地上の時計のずれを補正するため、相対性理論に基づく補正が必要です。
つまり私たちが何気なく見ている「地図上を動く車のアイコン」の裏には、衛星測位からAI、決済システムまで大量の技術が積み重なっています。
日本はどうなるんだろうなこれ…